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癌専門病院へ

いきなりの癌宣告の後「家族で話し合って下さい」と言われたからと言って、実際にはそうは行きません。

兄には私から説明しましたが、本人を含めて4人で話し合っても上手く話が纏まる訳が無いです。何しろ4人共パニックに近い訳ですから。

まずは兄と話し合い、「俺はあの病院に父を任せる気は無い。今までの経緯もそうだし、治療法が無いと言われたからには病院を変えようかと思っている」と私。

兄もS総合病院への不信感が深く同じ意見でした。ではどの病院へ行けば良いのか?ここからが素人でした。

「癌なのだから癌専門病院なら良いだろう」・・・・と。その病院の所属する機関も解らず、父の病状に対応してくれるのか?も何も調べなかったのです。

元々S総合病院からハッキリとした病名も聞かせれてなかったので、「切除不能な癌」としか認識が有りませんでした。

この頃からネットを使って癌に付いて調べてはいましたが、「癌専門で県内、長く通うかも知れないのでなるべく近い病院」だけで決めてしまったのです。

正直、まだ心に余裕が有ったと思います。何しろ癌の定期検診を受けていた訳ですし、大きくなっているとは言え、きっとまだ「初期」だろうと考えていました。

私が選んだ病院は二つで、両方とも病院名に「癌」の付く有名な専門病院でした。手術の成功例やその後の生存率等を比べましたが、どれも「K癌病院」の方が優れているようでした。

施設もK癌病院の方が大きく、本来はそちらにしたかったのですが・・・・同じ県内でも「K癌センター」の方が倍以上近かったのです。

近いと言っても高速を使って1時間半掛かります。K癌病院に到っては、高速を使っても2時間半以上掛かってしまうのです。

何しろ住んでいる所がド田舎ですから、有名な病院となると何処も遠くになってしまいます。父と母を説得するにもなるべく近い方が良いと判断しました。


癌と知ったからには時間は掛けていられません。直ぐに家族会議をし、「癌専門病院へ転院して欲しい」と意見を出しました。

「S総合病院と揉めたくない」と以前まで言っていた父と母でしたが、流石に今回の件に関しては嫌気が指したようでした。

「転院する」・・・とあっさりと納得してくれたのです。父等はまだ「切ってもそのまま閉じる」と言う言葉に怒っていました。

しかし、もしかしたら「遠くでも良い病院へ行きたい」と言う事も有りえます。一応二つの病院の説明をし、どちらを選ぶか?を家族で話し合いました。

地図を出して場所を教え、病院の違いを教え・・・・・結果、家族一致で近い方の「K癌センター」へ決まったのでした。


早速S総合病院へ連絡し、「今後の事を話し合ったので、担当医と話がしたい」と申し出ました。再度S総合病院へ、父、母、私で行く事になったのです。

今度は本来の担当医であるS先生が診察室で待っていました。すぐさま「転院したい」と言おうとすると・・・・私達の話を制止し、またも一から検査の結果と診断を話し始めます。

何か真新しい事でも話すのか?・・・と思いきや、全く前の説明と一緒です。「これでもかっ!」と、止めでも刺したいのでしょうか?もうウンザリでした。

S先生が話し終わったのを確認し「今の説明は全てこの前聞きました」と言うと「で?どうしますか?」・・・・と。

即答で「転院しますから手続きをお願いします」と答えました。すると「ああ、そう。それで病院は?」・・・・全く責任感も何も有りません。

「K癌センターへお願いします」と言った後の行動は早かったです。「はい、K癌センターですね。じゃあちょっと待ってて下さい。紹介状を書きますので」で終わりです。

ここで書き忘れましたが、K癌センターには事前に連絡をしてありました。「転院」の手続きの方法なんて解らなかったので、先に聞いてみたのです。

転院の手続きは現在通っている病院でする物で、紹介状さえあれば次の病院での手続きは外来で出来るとの事でした。

S先生には確かにハッキリと「転院」と言ったのです・・・・が、今思えば「どうせ何処に行っても同じ」と思われていたのでしょう。後に余計な時間を賭ける事になってしまいました。

その時は勉強不足で知らなかった「セカンドオピニオン」の手続きをしていたのです。S先生は手続に入る前に小さな声で「まぁセカンドオピニオンでも受けて、色々な意見でも聞いて下さいよ」と言ったのです。

が、意味が解らない私は「転院の事を医学用語でセカンドオピニオンとでも言うのだろう」としか思っていませんでした。

そして出来上がった紹介状を貰った時「K癌センターの○○○先生へお願いしときましたが良いですね?」と。○○○の読み方が違っているのです。

先に説明をしてくれた看護士さんは感じの良い人で、こちらから「○○○はどう読むのですか?」と聞いた所、違う読み方を教えてくれたのです。

「この先生は読み方も確認しないで紹介状を書いたのか・・・」と、最後の最後まで呆れさせてくれました。


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